2011/02/24

共立出版からの回答 (代数学講義と初等整数論講義の著作権)

1月10日に共立出版に問い合せた「代数学講義」と「初等整数論講義」の著作権に関する回答を2月23日に取締役編集担当の方からいただきました。回答に全文を転載してよいと許諾をいただきましたので、宛名や差出人を除いた全文を公開します。

2011年1月10日付のメイルで、高木貞治プロジェクトにより、弊社刊行の高木貞治著の著作物をウェッブで公開するご計画にあたり、同書の著作権に関する判断につきお問合せをいただきましたので、お返事を申しあげます。

ご指摘の通り、高木貞治著「代数学講義」(初版1刷1930年、改訂版1刷1948年)と同「初等整数論講義」(初版1刷1931年)については、著作権者の高木貞治先生没後50年を経過しましたので、公開していただくことが可能となったと判断いたします。

しかしながら、現在出版を続けております「代数学講義改訂新版」(改訂新版1刷1965年)と「初等整数論講義第二版」(第二版1刷1971年)を底本とされるご希望につきましては、弊社は次のように考えております。念のために申し上げますが、これは改訂にかかわりもしくは権利を継承されている方々からのご意見も伺ったうえでの判断であります。

Ⅰ.
(1)改訂作業は、ご認識いただきました程度の単純な現代仮名遣いへの変更のみということではなく、論理性を壊さずに理解しやすさを改善するという点で、高い国語力と数学力と時間を要する、創作力によってなされました。
(2)しかしながら、いずれの著作も改訂者によって創作性が加わったとはいえ、「著作物としての大筋」は、すでに高木貞治先生による「初版」で出来上がっていることは認めざるを得ません。

Ⅱ.
そこで、その「創作性」と「著作物としての大筋」との間の問題を解決する方法として、弊社としては次のことを提案したいと思います。

(1)高木貞治プロジェクト様側から、弊社に対し、「代数学講義改訂新版」(改訂新版1刷1965年)と「初等整数論講義第二版」(第二版1刷1971年)を電子化してウェッブに公開するご希望を、書面により「許諾願い」の形で提出していただく。

(2)弊社はその「許諾願い」に対して書面により「許諾書」を発行します。そこには『共立出版(株)からの許諾を得て、本来「初版」を公開するべき代わりに「改訂」されたものを公開した』というような一文を明記することを条件とすることを書く予定です。

この「許諾」の対価としてロイヤリティなどは発生しません。「許諾願い」は、必要な情報が書かれていれば形式を問いません。「許諾願い」の宛て名は、弊社社長の「南條光章」宛でお願いいたします。

なおこの回答内容をウェブで公開するご希望については承諾します。
どうぞよろしくお願いいたします。

2011/02/20

解析概論の著作権

1月10日に岩波書店に問い合せた解析概論の著作権に関する回答を2月17日に取締役編集局部長名でいただきました。質問の際に回答内容も公開させていただきたいと考えておりますと書いていましたが、念のために確認したところ、全文を転載してよいと許諾をいただきましたので、宛名や差出人を除いた全文を公開します。

 1月10日付のメールでごお問い合わせいただいた高木貞治著『解析概論』の著作権に関し、ご返事申し上げます。
まず、『定本』と『改訂第三版』の関係は、ご指摘いただいた通りです。『定本』で新たに加えられた補遺「いたるところ微分不可能な連続函数について」以外は基本的に同じ内容になっています。
 しかしながら、ご留意いただきたいのは、『改訂第三版』の著作権がどうなっているのかということでございます。
 『改訂第三版』は、黒田成勝先生によって改訂が行われました。黒田成勝先生の「序文」の記述にもとづいて、『改訂第三版』と『増訂版(増訂第二版)』(昭和18年5月)とを比較していただければおわかりいただけますように、『改訂第三版』では、黒田成勝先生によって、さまざまな補足や挿入や変更が行われています。それらのなかには、単なる表記等の変更ではなく、創作性のある加筆、改変になっている箇所が多々ございます。したがって、『改訂第三版』には改訂者である黒田成勝先生の著作権が存在しています。
 念のため申し上げますと、『増訂版(増訂第二版)』の改訂は高木貞治先生ご自身によってなされていますので、そのような事情は存在しません。
 『解析概論』の著作権に関しましては、以上のような事情になっておりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

つまり、「改訂第三版は、増訂第二版を改訂(翻案)したもので、その著者は黒田成勝先生である。改訂第三版の序文には改訂者として氏名を表記しているが、書籍には原著作者である高木貞治先生の氏名だけ表示して改訂者の氏名表示はしていない。」との解釈であると理解しました。

黒田成勝先生が亡くなられたのは1972年ですので、著作権の保護期間が切れるのは2023年ということになります。そうなるとWikisourceで公開するのは著作権侵害ということになります。Wikisourceでの入力もほぼ完成している状況でこのような結果になったことは非常に残念です。

今後の対応は、
  1. Wikisourceからいったん削除して、2023年に公開する
  2. 増訂版(増訂第二版)を定本として再入力して、利用しやすい現代仮名づかいへの変更はWikibooks上で行う
  3. 著作権者である岩波書店?(定本の奥付には © 高木滋 と記されている)にGFDLにしてもらう
の三つが考えられますが、3.に関しては難しいと思われます。

私自身は最初の目次とほんのわずかな本文しか入力していませんが、精力的に高木貞治プロジェクトに関わってくださっている他の多くの方の努力が報われないことのないようにしなければならないと思っています。